岡山大学とは
岡山大学は、岡山医科大学をはじめとする高等教育機関群を統合して、1949年(昭和24年)、新制国立大学として設立されました。1870年(明治3年)に創設された岡山藩医学館を起源とする歴史のある大学です。
参照:HP https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/freetext/ou-vision2030/file/ou_vision_2050.pdf
岡山大学は長期ビジョン2050「地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学」というのことを掲げています。持続可能性と多様な幸せを追究する「SDGs推進研究大学」として、人文・社会科学から自然科学・医療にわたる幅広い専門知・実践知と、データサイエンスをはじめとする、新たなリテラシーとの分野横断的な統合による「総合知」の創出と活用を推進しています。そして、データ駆動型社会において地域と世界のことを考え活躍できるいわゆるグローバル人材の育成と、組織・団体の垣根を越えた協働事業・国際共同研究などを発展させている大学です。
岡山大学の学部について
参照:Keinet https://search.keinet.ne.jp/1355/outline/department
岡山大学ではグローバル・ディスカバリー・プログラムというものがあります。グローバル・ディスカバリー・プログラム(GDP)とは、世界中から集まる留学生、帰国生などと英語を共通言語として一緒に学ぶ国際プログラムです。学部・学科の枠にとらわれない、自由で実践的な学びを通してグローバルに活躍できる人材を育成することを目的としています。グローバル・ディスカバリー・プログラムには特徴が4つあります。
特徴1:「自分の学び」を実現するカリキュラム
個々の学生はアカデミック・アドバイザーと相談しながら、学ぶ意欲や関心、将来の目標とマッチした科目を選択し、履修計画を立てます。特定の専攻といった既存の枠組みにとらわれない主体的・創造的な学びを通して、新しい時代を切り拓く力を育みます。
特徴2:英語で学ぶ専門教育と言語教育
GDPの共通言語は英語です。英語による専門科目の学習量や期待値は高く、本格的な海外留学をしているような学びを通して、グローバル社会で求められる真の胆力を鍛えることができます。入学直後からレベルに合わせたアカデミック英語の授業があり、日本語が母語でない学生は個々のレベルに合わせた日本語の授業も履修できます。
特徴3:学生同士の協働・学び合いを大切に
GDPが提供する英語による授業は、グループディスカッションやプレゼンテーションを多く取り入れています。さまざまな文化背景や経験を持つ学生同士が協力し、学び合うことで、多文化への感性や課題発見力を高めます。
特徴4:実践知の重視
GDPではインターンシップや留学、演習なども実践科目として単位の取得を認めています。大学の学びを活かし、実際に現場で課題解決の道筋を探ることで、社会で役立つ実践的な力を養います。
岡山大学の学生数
2023年度
参照:Keinet https://search.keinet.ne.jp/1355/outline/department
全体としては1万人程度の学生が在籍しています。最も学生数の多い学部は工学部でおよそ2,500人と全体の1/4を占めます。大学全体の男女比は男性が約57%、女性が約43%になっています。工学部や環境理工学部は男性比率が80%を超えますが、文学部、法学部(昼間)、教育学部、農学部、医学部保健学科、歯学部、薬学部薬学科は女性の割合が多いです。特に医学部保健学科は女性比率が80%を超えています。
大学の所在地
参照:keinet https://search.keinet.ne.jp/1355/outline/campus
津島キャンパス
津島キャンパスは、文学部、教育学部、法学部、経済学部、理学部、薬学部、工学部、農学部が利用するキャンパスです。学外との境に塀がない、オープンなキャンパスです。だれでも自由に入構して、キャンパスの敷地内を散策できます。大講義室と研究スペースを有する木造2階建ての「共育共創コモンズ」という施設があります。これは大学だけでなく地域や企業の方々とともに学びあい交流できる「みんなのイノベーション空間」として計画され、岡山大学特別招聘教授であり建築家の隈研吾さんの監修により建築されました。この建物は、木造CLTパネルを活用した最先端の工法を視覚的にも体感できる原寸大の建築教育の教材です。木造CLTパネルの製造量が日本一の岡山県における木質建築・森林保全活用の教育研究拠点としての役割も担います。持続可能な社会へSDGsを推進する岡山地域のシンボリックな建物となることを期待されています。
鹿田キャンパス
鹿田キャンパスは歯学部と医学部が利用するキャンパスです。こちらのキャンパスは病院エリアがあるため、津島キャンパスと違って自由散策はできません。鹿田キャンパスには大学病院など医療関係の施設が多いのが特徴です。
岡山大学の就職・進学について
主な就職先
2023年度
参照:大学通信ONLINE https://univ-online.com/rank2/y2023/chugoku-shikoku/r1920175/
岡山大学の学部卒業生は約52.4%が就職しており、約33%が進学しています。主な就職先を見てみると、最も多いのは川崎重工業、次いで三菱電機、村田製作所となります。工学部の人数が多いので製造業への就職者が多いですが、業種別で見ると教育学部の影響で学校教育関連への就職が一番多いです。教育関連の次が製造業、その次が医療・福祉関連の就職が多いです。また、法学部を中心に公務員への就職も多いです。国家公務員と地方公務員の数を合わせると、学校教育関連の2倍ほどの就職者の数になります。また、就職先の地域としては岡山県が一番多いです。次いで関東東海地区、その次が近畿地方となります。進学については理学部と工学部の進学率が特に高く、理学部は62.7%、工学部は71.6%が進学しています。
偏差値と倍率
偏差値
一般入試前期日程の偏差値をまとめてみました。
(※)河合塾kei-net参照。https://search.keinet.ne.jp/1355/general/border_rate
偏差値は50~55ほどのところが多いです。偏差値が一番高いのが、医学部医学科の67.5となっています。
医学部に次いで偏差値が高いのが薬学部薬学科の57.5です。共通テストのボーダーについては、65%〜70%程度の学部学科が多いです。医学部医学科は一番ボーダーが高く84%となっています。他にも歯学部や薬学部、教育学部の中学教育はボーダーが70%以上と高くなっています。反対に、教育学部の特別支援は62%で他の学部学科より低くなっています。また、法学部や経済学部の夜間も63%とほどと他学部に比べると低めです。
倍率
一般入試前期日程の倍率をまとめてみました。
学部・学科 | 倍率 |
文学部 | 2.4 |
法学部(昼間) | 1.9 |
法学部(夜間) | 1.7 |
経済部(昼間) | 2.1 |
経済部(夜間) | 2.7 |
教育学部 | 1.1~2.2 |
理学部 | 1.7~2.9 |
工学部 | 1.6~2.1 |
農学部 | 2.1 |
医学部 | 1.1~2.8 |
歯学部 | 1.8 |
薬学部 | 1.5~2.2 |
合計 | 2.0 |
参照:Keinet https://search.keinet.ne.jp/1355/general/exam_result
大学全体でみると、前期試験の倍率は2.0倍です。最も倍率が高いのは理学部の化学科で2.9倍です。ただし、化学科の前年度の倍率は1.4倍だったので前年度の倍率が低かったために出願者が増えた可能性もあります。同様に前年度1.2倍だった地球科学科は2.6倍に増え、前年度3.6倍だった数学科は2.2倍に減っています。最も倍率が低いのは教育学部の中等教育と医学部保健学科の1.1倍です。ただし、医学部保健学科は前年度の倍率は2.1倍でした。
岡山大学の攻略法
入試方式について
一般選抜(前期日程、後期日程)の他に、総合型選抜、学校推薦型選抜、国際バカロレア選抜があります。
一般入試の攻略法
配点について
医学部保健学科看護学専攻(理系)
医学部保健学科看護学専攻(文系)
参考:HP https://www.okayama-u.ac.jp/user/st/nyushika/pdf/2025yokoku3.pdf
岡山大学は共通テストと2次試験の配点では共通テストの配点が高い学部が多いです。教育学部や医学部保健学科の看護学専攻では共通テストと2次試験の配点差が2倍以上あるところもあります。そういった学部を狙う場合は、2次試験での逆転は難しくなりますので、共通テストの対策に力を入れていきましょう。
工学部
医学部医学科
農学部
一方で、理学部、工学部、農学部、医学部医学科は共通テストよりも2次試験の方が配点が高いです。共通テストはもちろんのこと、2次試験できちんと点数を取らないと逆転されてしまいますので、2次試験で点数が取れるように対策を行いましょう。
理学部数学科
物理学科
化学科
生物科
地球科学科
また、理学部は配点の合計は各学科で同じですが、学科ごとに2次試験の科目ごとの配点は異なるので注意してください。数学科は数学の配点が、理科系の学科は理科の配点が高いです。ただ、物理学科と化学科でも数学や理科の配点が異なるので自分の受験する学科の配点はきちんと確認しましょう。
教育学部養護教諭養成課程
教育学部養護教諭養成課程では2次試験で小論文とペーパーインタビューが実施されます。小論文は養護教諭の仕事と子供の発育発達や健康について,理解力,思考力,表現力などを試す問題を課し、ペーパーインタビューは養護教諭養成課程での勉学・研究に必要な理解力・思考力や表現力並びに主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度について評価されます。小論文は書籍から抜粋された資料が2つあり、それを読んで問に答える形式です。設問は3問で1問目と2問目は下線部の説明や理由など現代文のような内容で、3問目で自身の意見や考えを記述します。文字数は年度によって違いますが、400字〜450字の年と600字〜650字の年があります。資料を踏まえた上で「自由に考える力が育つ学校について」「用語共有として子供に接するときに大切にしたいこと」「養護教諭として子供に健康教育を行うときに大切にしたいこと」などが出題されます。2023年には「養護教諭を目指す者としてこれから学びたいこと」の記述の中に「教育」「子どもの立場」「個別性」という単語を使用するように指示がありました。
ペーパーインタビューは2022年度の入試から導入されました。下記のような内容を指定された解答用紙に記入していく形式です。
また、岡山大学では英語資格や検定試験の結果を利用することができます。岡山大学の設定している基準を超えていれば、共通テストと2次試験の英語両方を満点とみなされます。ただし、例えば英検ですとスコアが2600点以上でないといけないので、求められるレベルはとても高いです。
岡山大学の攻略法(総合型選抜)
岡山大学の総合型選抜は文学部、教育学部、法学部、理学部、医学部保健学科、薬学部で実施されます。
選抜方法は各学部で共通テストが必須となっています。それに加えて文学部、教育学部、理学部では面接、医学部の看護学専攻、放射線技術科学専攻、薬学部では小論文と面接、医学部の検査技術科学専攻では総合問題と面接小論文、法学部ではペーパーインタビューが課されます。文学部、法学部、医学部では英語資格・検定試験の成績を書類審査に含めて評価されます。提出は任意ですが、英検など取得しておいて損はないでしょう。
文学部、理学部 法学部
教育学部 薬学部
医学部看護学専攻、放射線技術科学専攻
医学部検査技術科学専攻
各学部の配点はこちらです。
参照:HP https://www.okayama-u.ac.jp/user/st/nyushika/2024/pdf/bosyuyoko/sougou2024.pdf
こちらは2024年度の配点になります。2025年度では薬学部には共通テストで情報が追加されます。
医学部を除き共通テストの配点の方が高くなっています。特に理学部では共通テストの配点が7割ほどになるので、共通テストできちんと点数を取ることが必要です。また、一部の学部には合格基準点が設けられていて、文学部では390点/600点、法学部(昼間)では130点/400点、夜間主コースでは120点/400点、医学部看護学専攻では200点/400点、理学部の数学科では560~600点/800点、物理学科と化学科では420〜450点/600点となっています。文学部では英語・国語・社会の3教科、法学部では英語・国語の2教科で受験ができるので、私立志望で本当は国立にいきたいと思っている人でも出願できます。もちろん、岡山大学を第一志望で考えている人も共通テストはどちらにせよ利用するので、出願しておくと良いでしょう。また、岡山大学にはディスカバリー入試というものがあります。こちらはグローバル・ディスカバリー・プログラムを希望する人に向けての入試です。受験区分は文系と理系で分かれています。ディスカバリー入試の場合は英語資格・検定試験の成績提出は必須となりますので注意してください。
選抜方法
文系も理系も1次選抜では書類審査、2次試験が英語の記述試験や面接などです。
1次選抜
○自己推薦書・調査書等の提出書類による書類審査です。
自己推薦書では、主として次の点が評価されます。
・自分の意見や経験をまとめる論理的思考力を持っているか。
・相手に説得力を持ってわかりやすく伝える文章力を持っているか。
・これまでの経験に基づく考察と学修計画に一貫性があるか。
・グローバル・ディスカバリー・プログラムの特徴を生かした学修計画を立てているか。
調査書と英語資格・検定試験の成績証明書では、主として次の点が評価されます。
・グローバル・ディスカバリー・プログラムで学ぶための英語能力を含む基礎学力があるか。
志願者数が一定数を超えるとこれらを総合して1次選抜が行われます。
1次選抜の合格者は文系で30名、理系で16名程度です。
合格した人が2次選抜に進むことができます。
2次選抜は文系と理系で少し異なります。
文系 理系
文系
英検ですと、準1級で2300点以上のスコアを獲得する必要があります。
英検ですと英検1級が相当します。
理系
文系と同じです。
理系はポスターのデータとタイトルを事前に提出する必要があります。
配点です。
合計は同じですが、文系の方が面接の配点が高く、理系は面接の配点が文系比べて下がる分、理系の記述問題とプレゼンテーションの配点が高くなっています。HPで過去問も見ることができるので、ぜひチェックしてみてください。
岡山大学の攻略法(学校推薦型選抜)
岡山大学の学校推薦型選抜は2種類あります。共通テストを課さない学校推薦型選抜Iと共通テストを課す学校推薦型選抜IIです。
学校推薦型選抜I
学校推薦型選抜Iは教育学部、経済学部、理学部、工学部、農学部、これらの一部の学科で行われます。
配点です。
*は,面接評価に含まれます。
教育学部では2種類の選抜に分かれています。入学後に,「岡山県北地域教育プログラム」を履修する岡山県北地域教育プログラム選抜と「岡山県工業科教員養成プログラム」を履修する岡山県工業科教員養成プログラム選抜です。それぞれ評定は4.3以上必要でる岡山県北地域教育プログラム選抜では書類、小論文、個人面接、集団面接、岡山県工業科教員養成プログラム選抜では書類と小論文、面接が実施されます。
経済学部でも2種類の募集方法があります。実施は夜間コースのみです。出願資格が若干異なりますが、どちらも評定は4.0以上必要で、書類、小論文、面接で選抜されます。
理学部は生物学科のみの実施です。評定は4.3以上必要で書類、総合問題、面接で選抜されます。
生物学科では英語資格・検定試験の成績を書類審査に含めて評価されます。提出は任意ですが英検等取得しておくといいでしょう。
総合問題は生物学に関連する英文を用いて、基礎的英文読解能力が評価されます。加えて、生物学の基礎的な知識、論理的思考力、表現力が評価されます。
工学部では評定4.3以上が必要で、学科により異なりますが、書類、面接、総合問題で選抜されます。
農学部は2種類の募集方法があります。どちらも評定は4.3以上必要で英語試験・検定試験の成績の提出が必須です。書類、小論文、面接で選抜されます。
学校推薦型II
学校推薦型IIは教育学部、経済学部、歯学部で行われます。
全ての学部で共通テストが必須です。
※2024年度の配点です。2025年度から一部の学部で情報が加わります。
教育学部は評定4.3以上、共通テストの他に書類と面接で選抜されます。学校教育教員養成課程中学校教育専攻(英語)においては、英語資格・検定試験の成績を書類審査に含めて評価されます。
経済学部でも2種類の募集方法があります。実施は昼間コースのみです。出願資格が若干異なりますが、募集方法Aでは評定4.0以上、募集方法Bでは評定は4.3以上が必要で、共通テストの他に、書類と面接で選抜されます。
歯学部は評定4.3以上、共通テストの他に書類、小論文、面接で選抜されます。ただし、面接の得点が50点未満の場合は不合格となります。英語資格・検定試験の成績を書類審査に含めて評価されます。
どの学部の共通テストの点数は配点の中で多くを占めるので、共通テストの対策はきちんとしておきましょう。学校推薦型IもIIも高い評定が必要なので、1年生から定期テストできちんと点数をとって高い評定を維持していきましょう。
まとめ
岡山大学は非常に伝統のある大学で、医学部や歯学部薬学部など医療系も充実しています。グローバル・ディスカバリー・プログラムやSDGs関連など、独自の取り組みも行っています。各学部で総合型選抜や学校推薦型選抜など様々な入試方式が存在します。共通テストが必要なかったり、3教科で受験できる方式などあるので、本当は国立に行きたいけど私立狙いという方でも受験することができます。一般選抜では共通テストの配点が高い学部も多いですし、推薦や総合型で共通テストを利用することもあるので、共通テストの対策はきちんとしていきましょう。